米国向け取引におけるDDP発送必須化について
1. 概要
米国の関税政策の変更により、eBayでの取引が従来とは大きく異なる状況となっています。これに伴い、通関での遅延やバイヤーによる関税支払い拒否が頻発し、世界中の越境取引を行うセラーの皆さまに直接的な影響が出ています。
こうしたリスクを防ぎ、セラーの皆さまに安心してeBayでの販売を続けていただくとともに、米国のバイヤーにも日本の皆さまから安心して商品を購入いただける環境を守るため、eBayでは以下の通り、米国向けの発送(2,500米ドル未満)については一時的にDDP※1方式の利用を必須とさせていただきます。
2. 配送要件の変更 ※米国以外は変更なし
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 適用開始日 |
2025年10月17日以降に発生した取引より適用 ※米国太平洋時間 ※日本時間:2025年10月17日 16時以降 |
| 対象商品 |
日本から米国に発送する 2,500米ドル(送料を除く ※3)未満の商品 ※Authenticity Guarantee対象商品を除く |
| 変更内容 |
DDPでの発送が必須 ※全キャリア対象 |
※1: DDP(Delivered Duty Paid)
関税・税金がセラー側で処理される配送方式。
バイヤーは受け取り時に追加費用を支払う必要がありません。
※2: DDU(Delivered Duty Unpaid)
関税・税金が通関時に発生し、バイヤーに請求される配送方式。
商品受け取り時に支払いが必要となります。
※3: 「送料」とは、出品時に Shipping Policy欄で設定した配送費用を指します。
この送料を除いた商品価格(Item price)が 2,500 米ドル未満の取引は、DDP発送の対象となります。
3. DDP義務化の背景
●DDPとDDUの違い
DDU※2は、「着払い」に近く、商品受け取り時に関税を支払うため、バイヤーにとって予期せぬ費用が発生する可能性があり、購入をためらう要因となっていました。DDPでの発送であれば、バイヤーは追加費用を心配せずに安心して購入できるため、取引全体の信頼性が高まります。
●米国関税政策変更後に生じている影響と対応策
従来と異なり、関税発生時に受け取り拒否や配送遅延、返品・廃棄が発生しているという課題が生じています。DDPに切り替えることでこうしたリスクを大幅に減らし、Negative/Neutral Feedbackの発生を防ぐことができます。結果として、長期的にセラーアカウントを守り、安定した販売活動につなげることができます。
4. 適用開始日以降に対象商品をDDPではなくDDUで発送した場合
適用開始基準は「発送日」ではなく「取引日」です。2025年10月17日以降の取引でDDU発送を行った場合、以下の通りセラー保護の対象外となります。
● 関税理由のItem not received(商品未着)のケースが開かれ、eBayに介入が求められた場合、該当ケースは「セラー不利(Seller fault)」で終了し、アカウントにDefectが付与されます。
※アピールを行っても削除ができません。
● 関税に関するNegativeまたはNeutral Feedbackが残された場合、削除対象外となります。
さらに、適用開始日以降もDDUを継続的に利用し、Item not received(商品未着)のケースによるDefectやNegative/Neutral Feedbackが増加した場合、販売制限(Selling Restriction)が適用される可能性があります。
5. 商品ページに表示されるメッセージについて
10月17日以降、日本から米国へ発送する2,500米ドル未満の商品には自動的にDDPでの発送を前提とした以下のメッセージが表示されます。このメッセージはDDU、DDPに関わらず表示されます。
“This item includes applicable import fees—you won’t pay anything extra after checkout.”
これにより、USバイヤーに対して「追加費用なし」「安心して購入できる」ことが明確に伝わり、バイヤー体験の改善や購入率の向上が期待されます。
※Authenticity Guarantee対象商品は除きます。
6.セラーの皆さまがすべきこと
①価格修正
DDP分(関税やDDP手数料など)をどのように価格に反映させるかはセラー様ご自身の判断となります。
価格への反映方法(商品価格に含める/送料に含める)については、それぞれメリット・デメリットがあるため、各セラー様の戦略に応じてご判断ください。
・一括で商品価格を変更する方法
Seller Hub > Listings > Active > Edit から操作可能です。
※一度に一括修正できる商品数は最大2,000点まで
②eBaymagを利用している場合
eBaymagの価格修正(US商品の価格を上げている場合)
サイトタブをクリック > 出品したいサイトの[オンにする]のトグルをオンにします。
価格を変更したい場合は、「価格修正」欄にある価格をクリックし、+ーで調整値を入力してください。
※設定後、数十分~数時間後に調整後の価格が商品に反映されます。
オリジナルサイト(例:USサイト)で価格を変更された場合は、その変更がeBaymag上に正しく同期されていることを必ずご確認のうえで、以下の価格補正設定を行ってください。
※価格が反映されるまでに、数日かかる場合があります。
※なお、eBaymag 上で手動で各サイトへの個別商品価格を調整した場合、本機能による一括価格調整は反映されませんのでご注意ください。
eBaymagのページにてユーザーガイドの無料DLが可能です。
ユーザーガイドは下記の該当ページをご参照ください。
・在庫連携の設定については16ページ
・価格の設定方法については17ページ
・手動での価格設定のご注意点は32ページ
③eBay SpeedPAKをご利用いただいている場合
eBay SpeedPAK(以下SpeedPAK)をご利用の際は、必ずShipping Policy(配送設定)でSpeedPAKを設定してください。
Shipping Policyの設定方法に関してはこちらからご確認ください。
各配送サービスごとのShipping Policyオプションについては以下の表をご参照ください。
| Shipping Policy(シッピングポリシー)名 | 推奨配送サービス |
|---|---|
| Expedited Shipping from outside US | FedEx、DHL、UPS |
| eBay SpeedPAK Expedited | eBay SpeedPAK - Ship via FedEx @ International Connect Plus |
| eBay SpeedPAK Express | eBay SpeedPAK - Ship via FedEx/DHL |
| Standard Shipping from outside us | 日本郵便 (EMS)、ヤマト運輸 |
| Economy Shipping from outside US | 日本郵便 (EMS以外)・その他配送会社 |
| eBay SpeedPAK Economy | eBay SpeedPAK Economy |
※SpeedPAK Economyを利用して発送できる国:アメリカ、イギリス、ドイツ、オーストラリア
よくある質問
関税の計算・原産国(COO)について
関税の金額はどのように計算されますか?
申告価格=商品価格のみ(送料や保険料は含まない)を基準に、HTSコードと原産国に基づいて関税率が適用されます。
以下の参考リンクから関税率を確認いただけます。
※ダウンロードデータの詳細はOrange Connex社へご確認ください
・原産国(COO)に基づく推定米国関税・税金料金(事前設定関税率):[Excelファイルをダウンロード]
・分類されたHTSコード+原産国(COO)に基づく推定米国関税・税金料金(事前設定関税率):[Excelファイルをダウンロード]
・税関裁定オンライン検索システム(CROSS):[外部ウェブサイトへ移動]
・米国協調関税表システム(HTS): [外部ウェブサイトへ移動]
原産国(COO)が不明な場合は、どのように対応すればよいですか?
以下の方法でご確認ください。
・製造者に直接問い合わせをする
・商品の説明書やパッケージ記載の情報を参照する
・必要に応じて、販売元や輸入元に連絡する
原産国情報はセラーが正確に提供する責任があります。不正確な情報を記載した場合、通関遅延や罰則、その他の法的リスクにつながる可能性があることをご理解ください。
価格設定・手数料・eBaymag
DDPに変更し、商品価格に関税と送料を含めた場合、eBayの落札手数料(Final Value Fee)はどこに課されますか?
DDPでは、商品価格+関税+送料が取引総額となり、チェックアウト時にバイヤーが支払います。
この「取引総額」が取引金額として扱われるため、落札手数料(Final Value Fee)はこの「取引総額」に対して発生します。
DDPにする場合、販売価格はどう調整すればよいですか?
DDP分(関税や手数料など)をどのように価格に反映させるかはセラーご自身の判断ですが、関税分をカバーできるよう調整いただくことも可能です。
価格への反映方法(商品価格に含める/送料に含める)については、それぞれメリット・デメリットがあるため、各セラー様の戦略に応じてご判断ください。
一括で商品価格を変更する場合は、
Seller Hub > Listings > Active > Edit から操作可能です。
なお、一度に一括修正できる商品数は最大2,000点までとなります。
運用・適用範囲について
バイヤーが送料を追加で支払った場合、その合算額も「2,500米ドル未満」の判定に含まれますか?
いいえ、含まれません。送料を除いた商品価格(Item price) 2,500 米ドル未満の取引が、DDP発送の対象となります。
日本郵便(EMSなど)で発送した場合も対象になりますか?
2025年9月24日時点では当該サービスは引き受け停止中のため、ご利用いただくことはできません。(日本郵便のお知らせより)
ただし、日本郵便のサービスが再開された場合には対象となります。
なお、ギフト偽装や過少申告などの不正行為は法令及びポリシー違反となり、摘発されればセラー個人だけでなくeBay全体の信頼や配送環境にも悪影響を及ぼしかねませんので、正しい申告を徹底してください。
落札後に関税分を別出品もしくは、外部決済などで別途徴収としてバイヤーに請求しても良いですか?
いいえ。関税額分を別出品もしくは、外部決済などでバイヤーに請求することは、eBayポリシー上認められていません。
・No item listing policy
・Offering to buy or sell outside of eBay policy
商品説明欄にはどのような文面を記載すれば良いですか?
米国向け取引では「関税や税金は清算されています」など、バイヤーが追加の支払いを行う必要がないことが分かる表現を使用してください。
以下の英文例を参考にしてください。
※下記は一例です。実際の取引内容に合わせて調整してください。
記載例(英語)
Customs and duties:
Import duties and taxes are included in the item price or shipping cost.
Items shipped to the U.S. are sent under the Delivered Duty Paid (DDP) method, which means all import-related charges are prepaid.
You don’t need to pay any additional fees when your order arrives.
商品説明については「正しい商品説明の書き方」ページをご覧ください。
プエルトリコなどの米国自治区もDDPでの発送が必須ですか?
はい、プエルトリコ、グアム、アメリカ領ヴァージン諸島などの米国自治区宛ての発送も、すべてDDPでの発送が必須です。
これらの地域宛てに出荷する場合も、SpeedPAKではDDP発送のみご利用いただけます。
セラー保護とDDU利用時のリスクについて
バイヤー都合の受け取り拒否や関税未払いでも、ケースが開かれた場合は、DDU発送はすべて「セラー不利」になりますか?
はい。米国向け発送において関税理由のItem not received(商品未着)のケースが開かれ、eBayに介入が求められた場合、該当ケースは「セラー不利(Seller fault)」で終了し、アカウントにDefectが付与されます。アピールを行っても削除はできません。
さらに、 関税に関するNegativeまたはNeutral Feedbackが残された場合、削除対象外となります。
「販売制限」の基準は、何件くらいのDDU利用で適用されますか?
具体的な基準や件数は公開していません。ただし、安全に販売を続けるためにも、適用開始日までにDDP発送に備える準備(価格修正、eBay SpeedPAK利用のご検討)をお願いいたします。
UK(eBay.co.uk)やAU(eBay.com.au)など、他国サイトのeBayアカウントから米国向けに発送する場合も、DDPでの発送は必須ですか?
はい。取引が米国宛てである場合は、eBayアカウントの出品サイトにかかわらずDDPでの発送が必須となります。DDUで発送された場合は、一律で関税に関するセラー保護の対象外となります。
DDP適用開始日はいつからですか?基準となるのは発送日ですか?
DDPの適用開始日は2025年10月17日(米国太平洋時間)です。
基準となるのは「発送日」ではなく、バイヤーが商品を購入した日(Date Sold)=取引日 です。
(Seller Hub > Orders画面に表示される「Date Sold」が基準となります。)
- 10月17日以降に購入された注文 → 米国向けはDDPでの発送が必須となります。
-
10月16日までに購入された注文 → 従来どおりの発送方法で対応可能です。
※10月16日までに購入され、10月17日以降に発送される注文はDDP必須の対象外となります。
※本内容は2025年9月時点でのご案内です。今後変更となる場合がありますので、必ず最新の情報をご確認ください。
2025年10月17日以降もDDUで発送した場合、Item not received(商品未着)ケースやNegative/Neutral Feedback以外のセラー保護も対象外になりますか?
米国向けにDDUで発送した取引については、関税に関連するセラー保護が対象外 となります。その他の通常のセラー保護(例:詐欺返品に対する補填など)は従来どおりの規定が適用されます。
- 10月17日以降に購入された注文 → DDUの場合は関税に関するセラー保護が対象外となります。
- 10月16日までに購入された注文で17日以降にケースが開かれた場合 → 発送条件に関らず、従来のポリシーに従って対応が必要となります。
メリット・バイヤーへの影響
DDPでの発送にはどのようなメリットがありますか?
主なメリットは以下のとおりです。
-
関税込み表示で分かりやすい
商品ページやチェックアウト時に「必要な輸入手数料がすでに含まれています。チェックアウト後に追加の支払いは一切発生しません。」と表示され、バイヤーが安心して購入できます。 -
配送トラブルを回避できる
関税が事前に処理されるため、通関での滞留やバイヤーによる関税支払い拒否による配送トラブルを防ぐことができます。 -
制度変更後も安心した購入体験を提供
関税処理を事前に完了させることで、制度変更による混乱の中でも、追加費用や予期せぬ遅延を心配せずに取引できます。
バイヤーが商品受け取り時に追加支払いを求められることはもう無くなりますか?
DDPの場合は、バイヤーはチェックアウト時点の金額のみで完結します。
ただしSpeedPAKをShipping Policyに設定し、SpeedPAKで発送した場合に限ります。
商品ページに表示される「関税込み」メッセージは、どの条件で表示されますか?
「関税込み」メッセージは、商品所在地(Item location)が日本の場合に表示されます。このメッセージはDDU/DDPにかかわらず表示されます。
今回の変更により、多くのセラーの皆さまにご不便をおかけする場面もあるかと存じます。
特に今後、年末商戦期には世界的に物流量が増加し、配送リスクが一層高まることが想定されます。そうした事態からセラーの皆さまのアカウントを守るためにも、今回の決定に至ったことをご理解いただければ幸いです。
今後も円滑な移行に向けて、必要な情報を順次ご提供してまいりますので、ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
