イーベイ・セラー成功事例:株式会社JP.Company
「誰もやらないことを自分が逆に、真っ先にやる。海外販売はトラブルがあって当たり前
と割り切る。具体策がなくてもまずはやってみる。」
アワード殿堂入りセラー・荒木さんの他では聞けない社長術
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eBay Japan Awardsで最優秀賞に値する 『セラー・オブ・ザ・イヤー』を3年連続で受賞し、2022度のアワードでは新設された『eBay Japan 名誉セラー』を獲得して殿堂入りを果たした、株式会社JP.Company。2024年には、eBayのファッション・ラグジュアリーカテゴリーで売上を前年度比40%も伸ばし、ハンドバッグの売上においては2位から大きく離して世界1位に輝きました。
そんな偉業を遂げた、雲の上の存在のようなセラーが今回特別に話してくれた成功ストーリー。インタビューを通して見えてきたのは、社長・荒木淳平さんの好奇心と情熱に満ち溢れた人物像と、先見の明、そして笑顔の絶えない一体感ある社員たちの存在でした。
案ずるより産むが易し。最初にあれこれ考えてスタートしないより、
まず何も考えずに発進してみると、その先につながっていくこともある。
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―荒木様のバックグラウンドや前職について教えてください
以前は、大学教授向けのアカデミックな本を海外から輸入して国内の書店に卸す会社に勤めていました。その会社を退職したのがリーマンショック直前の2008年でしたが、その頃はもう状況が芳しくなく、輸入に限界を感じまして。それで、次は輸出にチャレンジしようと考えました。
転職する選択肢もありましたが、私は小学生の頃から社長になりたいと考えていたんです。父親がもともと経営者だったので、その影響もありますね。それで迷わず、自分で起業して輸出に携わる道を選びました。
―それで退職して起業し、eBayで海外輸出をスタートしたのですね。
いえ、その時点でまだeBayをやろうとは思っていませんでした。といいますか、起業した時は特に何も決めていなかったんですよ(笑)。とりあえずスタートして、何かやって成功しようっていうノリだったので。それから100を超えるくらい本当にたくさんのビジネス案を考えた中で、「中古ブランド品を扱うビジネスが面白いぞ」と閃いて始めたのが最初です。そして国内販売で経験を積みながら鍛えていき、起業3年後の2012年にeBayを少しだけ試し、その後どこかのタイミングで国内販売をすっぱりやめて完全にeBayでの海外販売にシフトしました。
―その時はすべてお一人でされていたのですか?
本当に最初は1人でしたが、幸運なことに国内販売が走り出し好調で、 1ヶ月後くらいには従業員を入れました。社長になるぞと決めて、とりあえず何かやるぞと起業して、試しにやってみて、人を入れてと、ほぼ同時進行でしたね。それから徐々に規模を増やしていきました。
誰かがやっていることはつまらない!人と逆をいくのが荒木流。
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―ものすごいスピード!最初から上手くいったとは羨ましい話です。売れる商材はすぐに見つけることができたのですか?
結果的にはそうかもしれませんね。私、最初はコーチ(Coach)ばかり売っていて、 コーチ王子なんて呼ばれていたんですよ。当時、コーチは古物市場で全然人気がなくて、「誰も買わないなら、うちが買って工夫して売ってやろうじゃないか」って思ったのが理由です。それでコーチ専門店のような状態で国内販売していたら、ある程度売れていったので、そこからまた扱う商材を広げていきました。
私はみんなと同じが嫌なタイプの人間なんですよ。誰かがやっていることは、つまらなく感じてしまう。eBayに絞って販売することを決めたのも、2012年にはeBayだけに絞っている業者がまだいなかったからですし。
実は中古ブランド品も、売りたかったからではなく、貸したかったから始めたんです。人から借りて、それを別の人に貸すビジネスは今でこそ増えましたが、当時はまだ誰もやっていませんでした。それで、何を貸そうかと考えたのが中古ブランド品でした。中古ブランドのシェアサービス、それが弊社のeBayショップ名「Monoshare(モノシェア)」の由来です。でも、いざ始めようとホームページを作成していたら、 他社がブランドレンタルを始めるという話を聞いて、じゃあいいやって辞めました。なんだか急に面白くなくなっちゃって。それで「貸す」から「売る」に方向転換してみたら、けっこう売れたんですよ。人と逆をいったことが、後々の成功につながっていったのかもしれませんね。
そういえば、私はずっと社長を夢見ていましたが、小学校の卒業文集に「科学者になりたい」って書いたんです。科学者は第2希望でしたが、社長って書いている人が周りにたくさんいたものだから、同じことを書くのが格好悪く思えて。人と同じが嫌な性格は、その頃から変わっていないのかなぁ(笑)。
紛失だってクレームだってもちろんある。でも割り切らないと海外販売はできない。
怖がってライバルが撤退するならむしろラッキー!くらいの強さが大切
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―eBayで販売する中で、嬉しかったエピソードを教えてください。
1番最初に売れた時は嬉しかったですね。本当に売れるんだ、と感動しました。あとは、eBayでは海外のバイヤーさんが喜びをストレートかつ派手に表現してくれるので、素直に嬉しいです。「誕生日プレゼントとして子供にあげたらすごく喜んでくれたよ」みたいなエピソードをもらうと励みになります。
―それでは、反対にeBayで大変だったことは?
海外配送は国内に比べて商品の紛失が起こりやすいので、苦労しました。完全に紛失したことも、届くのが遅いとクレームが来たことも何度もあります。でも仕方がないというか、それも含めてのビジネスなので、正直いちいち気にしていないです。覚悟を決めて、起きてしまったらそういうものだと割り切る。そうしないと前に進まないですよね。むしろ、それを怖がってライバルが減ったらラッキーくらいに前向きに捉えます。その辺のマインドはeBay販売ではすごく大切だと思っています。でも、実際トラブルが発生したらイーベイ・ジャパンが手厚くサポートしてくれますし、私もいつも助けられているので、そこまで不安に感じることはないですよ。
eBayライブコマースや宣伝広告を活用して
世界中からファンを獲得
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―eBayで2023年から限定的にスタートしたライブコマースに精力的に取り組まれていますが、理由はありますか?
弊社は今、ほぼ毎週ライブコマースを行っています。社員のギター演奏なんかも入れながら、みんなでワイワイ楽しんでいますよ。ライブコマースは売上目的よりも、コミュニケーションのツールとして採用しています。お客さんとのコミュニケーションを通してファンを増やすのに抜群なんですよ。新規ファンの獲得はもちろん、既存の常連さんも参加してくれるので、さらに関係を密にすることもできる。そして、参加者の方たちが応援してくれるので、社員一同モチベーションが上がります。今ではライブコマースは弊社に欠かせない存在です。
―ショップのPR活動ですね。そういえば、最近ラジオCMを聴きましたが、とても恰好良かったです!国内でもファンが増えそうな予感ですね。
あのラジオCM、実は弊社の社員が作詞作曲して、歌っているんですよ!また、近いうちにYouTubeも始める予定です。この読者のみなさんにもぜひチェックしていただけると嬉しいですね。
社員同士のコミュニケーションとシステムが会社の強み
アナログとデジタルの上手な使い分けで、大量の出荷量にも対応
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―社員みなさんの仲が良く、和気あいあいとお仕事されているのが素敵ですね。良い会社作りのために、社長として取り組んでいることはありますか?
今は100名近い従業員がいますが、能力よりもコミュニケーションを大切にできる人を第一優先で採用しています。あと自分自身も含めて、社員の大半が子育て世代なので、みんなが気持ち良く仕事できるような環境づくりや福利厚生の導入に力を入れています。
私の取り組みではないですが、他にも元プロサッカー選手やホッケーの日本代表選手、キックボクシング選手などユニークなバックグランドを持った社員が集まっているので、お互いに刺激を受け合って活気に溢れています。また、弊社は縦割りのチーム制ではなく、全員で一つの作業をしているのでチームワーク力が高いです。モノをシェアする弊社っぽいですかね。
―荒木さんの社内での役割はどういった感じですか?
新しいことをやりたいタイプなので、「じゃあ次はコレやろう!」と率先してネタを見つけてくるのが私の係ですね。あと、私はもともとバイヤーでしたし、昔はプログラミングを独学で学んでいたのでシステムにもまあまあ強いですし、経理もやりますし、結構何でもやっているかもしれません。
―今は1日700件ほど出荷していると伺いましたが、その社員数でどうやってストレスなく回せているのか気になります。
そこは社員たちの力ですね。バイヤーも強いし、オペレーションの社員もとても器用。でも最初からみんなが上手にこなせていた訳ではなく、たくさんの商品を扱っていく中でコツコツと経験を積み上げていって、強くなりましたね。あとは物流などを含めたシステムも弊社の強みです。デジタルとアナログを上手く使い分けて効率的に作業を回す、ですとか。
他にも、従業員から「また変えたの?!」なんて言われるくらい、常にやり方を変えていっています。おかげで頻繁に変わるeBayのルールにも即座に対応できていますよ。柔軟かつスピーディに変化できるのは中小企業のメリットですね。
―最後に、会社としての今後の予定や、荒木さんの目標について聞かせてください。
他社の商品を代行して輸出販売するサービスを近く開始する予定です。売りたい商品はあるものの海外への販路がない、経験がないから不安、英語を話せない、といった企業さんに代わって私たちがeBayで販売します。企業向けの輸出販売代行が軌道に乗ってきたら、個人のお客様向けにもサービスもスタートしたいと考えています。個人からの買い取りは既に行っていますが、その先の輸出販売まで委託していただく方が、お客様にももっと還元できますし。
私自身の目標は、eBayで世界ナンバーワンを取ることですね。今回ハンドバッグという一部商品で世界1位をいただき光栄ですが、まだ本当に世界一のセラーにはなっていません。とても難しいことですが、目指すのは自由なので、そこを目指して日々頑張りたいと思っています。
株式会社JP.Company