EU「修理する権利」(Right to Repair)指令に関する対応について
更新日:2026年7月
目次
■ 概要
EUの「修理する権利(Right to Repair)」指令は、修理をより容易にし、廃棄物を削減することを目的としています。この指令により、全てのカテゴリーにおいて商品に欠陥(不具合・契約不適合)がある場合のセラーの対応に関するルールが一部変更される他、特定の商品カテゴリー(附属書2:Annex II)において修理に関連する追加の義務(要件)が導入されます。
EU加盟国のバイヤーへ販売・発送しているビジネスセラーは、新しい「修理の権利」指令への対応として、修理案内やバイヤーへの連絡方法を更新する必要があります。
2026年7月31日以降に完了する取引より、バイヤーから商品に欠陥(不具合・契約不適合)があるとの連絡を受け、セラーが法定保証に基づく対応を行う場合、対応を開始する前に、原則として「修理」または「交換」のいずれかを選択できることをバイヤーに案内する必要があります。バイヤーが「修理」を選択した場合、その商品の法定保証期間が一度、12ヶ月間延長されます。eBayでは、EU加盟国のバイヤーに販売される商品について、原則としてすべてのカテゴリーをこの対応の対象とします。
本指令の「附属書2(Annex II)」に指定された特定商品カテゴリー(一般的な家電製品や電子機器など)は、さらに追加の義務が適用されます。対象商品および要件の一覧は、本ページの下部をご確認ください。
■ 本指令の適用範囲と運用について
- 対象者:「法人セラー(eBay上でビジネスアカウント)」のみ
- すべてのカテゴリーの新品・中古品が対象です。
- EU各国のeBayサイトへの直接出品、eBaymag等を通じてEUサイトに掲載された出品、USサイト上でEU圏バイヤーからの購入があった場合のいずれも対象です。
- 事後対応(トラブル発生時など)でのペナルティ適用となるため、7月31日の期日までに必要な準備が完了していないことのみをもって、直ちにペナルティが発生するわけではありません。ただし、同日以降の取引で必要な対応を行えるよう、早めに準備を進めてください。
■ セラーが対応すべきこと
EU加盟国のバイヤーに商品を販売する場合:
バイヤーから保証期間内に商品の欠陥(不具合、契約不適合)について連絡を受けた場合、以下の対応が必要です。
- バイヤーに対し、「修理」か「交換」のいずれかを選択できるように案内してください。
- バイヤーが「修理」を選択した場合、商品の法定保証期間が一度、さらに12ヶ月延長されます。また、実際に修理を行う前に、この法定保証期間の延長について必ずバイヤーに通知してください。
※これらの要件は、2026年7月31日より前に完了した取引には適用されません。
附属書2(Annex II)に記載された特定商品カテゴリーを販売する場合:
特定のカテゴリー(洗濯機、洗濯乾燥機、冷蔵庫、食器洗い機、テレビ、掃除機、衣類乾燥機、溶接機器、スマートフォン、タブレット、コードレス電話、サーバー・データストレージ製品、電動自転車や電動スクーターなどの軽量移動手段に使用されるバッテリー搭載製品など)に該当する商品には、追加のルールが適用されます。
メーカーが日本など「EU域外」に所在する場合、原則として以下の順に、事業者が修理義務を負います。
- メーカーが指定したEU域内の「認定代理人(Authorised Representative)」
- 認定代理人がいない場合は「輸入者」
- 輸入者もいない場合は「販売者(セラー)」
これによりセラーが修理義務を負うこととなった場合、追加で以下の対応が必要です。
部品及び情報の確認:扱う商品に対して、どのスペアパーツや修理情報を、いつまで提供する必要があるかを、EUエコデザイン規則に基づいて確認してください。
修理サービスの提供:修理義務の対象期間中、修理サービスを提供できるようにしてください。
情報の開示:修理の対象範囲、修理方法、一般的な修理費用などの情報をバイヤーが容易に確認できるようにする必要があります。eBay上では、Seller HubのSeller disclosures(セラーの情報開示設定)、商品説明欄などを利用して、修理情報を登録してください。
※修理を無料で提供する必要はありません。妥当な金額(修理費用)を請求することができます。ただし、修理情報は明確に提示し、バイヤーが無料で閲覧できるようにする必要があります。
※バイヤーへ修理の選択肢を通知するための標準的なテンプレートとして、指令の附属書1(Annex I)に定められている「欧州修理情報フォーム(European Repair Information Form:ERIF)」を任意で利用することもできます。
※ご自身にこれらの直接的な修理義務が適用されない場合でも、修理に関する問い合わせ先などをバイヤーに案内し、サポートすることをおすすめします。
■ 附属書2(Annex II)に記載された特定商品カテゴリー
| 製品カテゴリー | 主な該当製品 |
|---|---|
| 洗濯・乾燥機器 | 家庭用洗濯機、衣類乾燥機、家庭用洗濯乾燥機 |
| 食器洗い機器 | 家庭用食器洗い機 |
| 冷却機器 | 冷蔵機器、冷蔵庫 |
| ディスプレイ機器 | 電子ディスプレイ(テレビ、モニターなど) |
| 作業・清掃機器 | 溶接機器、掃除機 |
| IT・データ機器 | サーバー、データストレージ製品 |
| 通信・モバイル機器 | 携帯電話(スマートフォン)、コードレス電話、タブレット、およびこれらに類似する機器 |
| 電動モビリティ(バッテリー搭載) | 電動自転車や電動スクーターなどの軽量移動手段に使用されるバッテリーを組み込んだ製品 |
※カテゴリーごとに、義務付けられる対応期間の要件は異なります。
■ 修理情報の更新方法
対象となる商品を販売する場合、バイヤーに対して選択肢を説明するために修理方針(リペアポリシー)を更新することをおすすめします。
※なお、義務づけられている期間中、他の方法(商品ページ以外など)でバイヤーにこの情報を提供する責任は引き続きセラーにあります。
修理情報は、Seller Notes(セラーノート)を使用して追加することをおすすめします。
1.Seller Hub → Settings(設定) → Seller notes/Disclosure(セラーノート/ドキュメント)にアクセスし、新しいドキュメントを作成します。
USサイトの場合:
2.提供する修理サービスに関する明確な情報を追加します。
3.すべての出品に割り当てるか、特定の出品を選択するか、または適用する出品のルールを設定します。
4.出品の作成時または改定時に、適用するドキュメントを選択することもできます。
この情報が出品ページに追加されると、バイヤーは商品ページ上で直接情報を確認できるようになります。後からドキュメントに変更を加えた場合、リンクされているすべての出品に自動的に変更が反映されます。
また、この情報を商品説明欄や注文確定メールに含めることも可能です。
■ よくある質問(FAQ)
よくある質問(FAQ)
出品ページに修理情報を表示する必要はありますか?
必ずしも必要ではありません。一般商品については、バイヤーが保証期間内に法律上の権利を行使した際に、選択肢(修理か交換か)を案内する義務があります。附属書2(Annex II)の義務が適用される場合は、出品ページ上でバイヤーが修理情報を明確に確認できるようにすることをおすすめします。
附属書2(Annex II)に該当する商品を販売する場合、保証対象外の修理義務は誰が負いますか?
この義務はメーカーに課されます。メーカーが日本など「EU域外」にある場合、責任は(優先順に)EU認定代理人、輸入者、そしてEU内で商品を販売(他サイト掲載出品を含む)しているセラー(販売者)へと引き継がれます。特定の商品においてご自身がこれらの役割のいずれかに該当する場合、義務を負う可能性があります。ご不明な場合は、サプライチェーンの契約書類を確認するか、専門家にご相談ください。
故障診断料(診断費用)を請求することはできますか?
はい、請求できます。ただし、事前にバイヤーへ診断費用がいくらかかるかを提示し、合意を得ておく必要があります。
実際に修理を行うことになった場合は、事前に提示した見積もりやERIF(欧州修理情報フォーム)の取り決めに従って、「修理代金から診断費用分を差し引く(=診断費用を修理代金の一部に充当する)」という形で精算することができます。