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越境ECを行う際に知っておくべき法律を徹底解説!
よくある法的トラブルと解決法まで紹介

越境ECの経営において、電子商取引法(EC法)を理解することは非常に重要なポイントです。電子商取引法への理解が薄いままだと、トラブルに発展することもあります。この記事では、越境ECの市場規模拡大の現状や法整備の課題、中国EC法などについて解説します。あわせて、越境ECのトラブル解決方法として日本の法律も紹介しているので、役立ててください。
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越境EC市場規模拡大の現状

越境ECの市場規模の現状はどうなっているのでしょうか。ここでは、市場規模拡大の現状について解説します。

インバウンドを上回る越境ECによる売上

越境ECとは、国境を越えて行われる電子商取引のことです。中国旅行者の爆買いなどインバウンドが話題になったことがありましたが、越境ECによる売上は、インバウンドを上回っています。中国だけではなく、欧米からの越境ECによる日本製品の購入額は増加しています。日本を訪れた旅行者が日本製品の良さを知り、リピート購入へとつがっているためと考えられます。

高品質の日本製商品の浸透

欧米や中国などでは、日本製品が高い人気を誇っています。欧米では和服などの民芸品、中国では家電製品や衛生用品などの人気が高いです。漫画やアニメなどのサブカルチャー、衣服や美容家電など、日本製品がさまざまな国に浸透しています。欧米・中国だけでなく、越境ECが急成長している発展途上国への今後の展開が望まれます。

越境ECでの法的トラブル

越境ECでは、法的なトラブルが起こる可能性があります。ここでは、主な法的トラブルについて解説します。

不正カード利用

不正なクレジットカードの利用によって引き起こされるトラブルがあります。偽装されたクレジットカードでの注文、子どもによる親のクレジットカード利用での注文などがあげられます。不正にカードを利用された場合、商品や代金の回収は難しいです。事前に本人確認するなどの対策が必要となります。

損害賠償

トラブルがもとで、損害賠償訴訟を起こされるリスクがあります。衣類に針が入っていた、商品が破損していた、などの理由で怪我をした場合などに発生します。訴訟は顧客の住んでいる国で起こされるため、弁護士費用や渡航費用など、多くの費用がかかってしまいます。リスク回避のためには、保険に入っておくとよいでしょう。

商品の破損や不着

商品が破損していたり荷物が届かなかったりといったトラブルが一定数起こります。海外へ発送する際には、海外の配送業者が関わることとなるため、雑に扱われることもあり、これらのトラブルが起きやすいです。商品を発送する際には、厳重に梱包したうえで、追跡番号をしっかり確認するなどの対策が必要です。

現地の法律への違反

知らないうちに現地の法律に違反していて、トラブルに発展することがあります。越境ECは、商品の輸出にあたるため、輸入禁止の商品は販売できません。商標権侵害・食品の安全基準などの法律は国によって異なるため、現地の法律をしっかりとチェックしておく必要があります。

越境ECのトラブル解決方法

越境ECでトラブルが起こった場合、どのように解決すればよいのでしょうか。具体的な解決方法を紹介します。

管轄裁判所と準拠法

管轄裁判所は、トラブルなどが起きた時に訴訟を起こす裁判所です。国をまたいで行われる越境ECでは、どこの国で訴訟を起こすのかが問題となります。当事者間の合意によって、管轄裁判所が定められます。準拠法とは、トラブルの際などに適用される法律です。トラブルの際は、どこの国で裁判を行い、どの法律を適用するかが重要なポイントになります。

※参考:越境ECへの規制って?事業者が知っておくべき3つのポイントを解説|TOPCOURT

準拠法と管轄裁判所の決定に関する原則

準拠法については、日本の場合「法の適用に関する通則法」が存在しており、通則法によって準拠法が決定されます。一方、諸外国の場合は、国ごとに準拠法を決めるための法律が存在するケースが多いです。管轄裁判所は、日本の場合民事訴訟法により判断されます。諸外国では、裁判をする国の法律に従い、管轄裁判所が決定されることが一般的です。

※参考:越境ECと国際裁判管轄|弁護士・山本雄一朗のブログ

越境ECにおける管轄裁判所の決定方法

プラットフォームの利用規約に管轄裁判所を記載するケースが多いのですが、「日本を管轄裁判所とする」と記載しても法的強制力はありません。日本の民事訴訟法、第3条の7第5項に、契約締結時に消費者が住所を有していた国の裁判所を管轄裁判所とする合意は、消費者が合意している場合のみ認められる内容が記載されています。 利用規約に記載することで消費者の訴えに対する抑止効果がでる可能性はあります。

※引用:越境ECと国際裁判管轄|弁護士・山本雄一朗のブログ

越境ECにおける準拠法の決定方法

準拠法についても、管轄裁判所同様に、プラットフォームの利用規約に記載しているケースが多いです。しかし、こちらも「日本の法律により規律される」と記載されていても、法的な強制力はありません。 2007年に消費者契約の特例法が適用され、通則法第11条第1項に、準拠法が利用規約に記載されていても、消費者が自分の常居所地の法律にある特定の強行規定を適用すべき旨の意思を事業者に対し示したときは、その強行規定を適用する内容が記載されています。

※引用:越境EC(外国人に日本の商品をネットで売る)の準拠法 – 企業法務大百科®

資金決済法にも注意が必要

資金決済法とは、決済やお金などの取り扱いに関する規定を定めた法律です。利用者の保護や犯罪の防止を目的として定められています。越境ECの場合には、資金決済法の定める資金移動と深いかかわりがあります。越境ECを運営するモールは、資金移動業として内閣総理大臣への登録が必要です。資金移動業とは、銀行以外で為替取引を100万円までの範囲で行える職務です。 国ごとに決済方法が異なっていても、資金移動業者が間に入っていれば、安心して決済を任せられます。個人プラットフォームで越境ECを展開する場合は、資金移動業者の登録を行いましょう。しかし、さまざまな要件を満たす必要があるなど、登録は簡単ではありません。

※参考:越境ECへの規制って?事業者が知っておくべき3つのポイントを解説|TOPCOURT

中国EC法でEC事業者に課された規制

中国EC法とは、中国国内の不正防止のために定められた法律です。しかし、中国国内だけではなく、日本の業者にも影響のある規則が含まれるため、内容を把握しておく必要があります。ここからは、中国EC法について解説します。

ECプラットフォーム経営者に対する規制

中国EC法では、ECプラットフォーム経営者に対して、厳しい義務が課されています。知的財産権を侵害していたり、模倣品・偽物を販売していたりする出店者を放置していた場合には、日本円で約800~3,200万円の制裁金が課されます。また、商品説明のない食品類は販売できなくなりました。

※参考:中国電子商取引法の改定で何が起きるのか?その基本を解説|ヤマトクレジットファイナンス

ECプラットフォーム出店者に対する規制

ECプラットフォーム出店者に対しても、営業許可証の取得・納税義務などが課せられ、違反者には罰金が科されます。出店者に課された主な規制は以下のとおりです

・中国法人の登録設立
・営業許可証などの情報の明示
・虚偽宣伝・評価の捏造の禁止
・抱き合わせ販売における注意喚起義務
・個人情報保護法の遵守
・輸出入監督管理等の関連法律・法規の遵守

※参考:中国電子商取引法で越境EC事業者が気をつけるべきポイント | Live Commerce ブログ

中国EC法が日本に与えた影響

中国EC法が施行されたことにより、日本製品の売上にも大きな影響がありました。観光に来た中国の旅行者が日本の量販店などで爆買いし、中国のECプラットフォームで転売するという代理購入ビジネスが難しくなりました。代理購入者が激減したことで、日本製品の売上は減少しました。 しかし、代理購入者による転売が激減したことで、正規ルートでの販売を行う越境ECでの購入者が増えるなど、今後の越境ECの需要拡大が予想されるなど、よい影響もあります。

まとめ

越境ECを行う際には、取引を始めようとする国の法律をしっかりと把握しておくことが重要です。それぞれの国で法律や解釈は異なるため、トラブルがおきないような準備をしておきましょう。
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