8.【ハンズオンプロジェクト①】Trading APIで商品情報を取得・確認する (R)

前回の記事はこちら

前回の記事では、APIとの対話ルールである「HTTPリクエスト」の基本を学び、便利ツール「Postman」を使って、そのリクエストを組み立てて送信する準備を整えました。理論と準備は万端です。(今回の内容は前回とほぼ同じように見えますが、復習として読んで行きましょう。)

今日から、いよいよ本格的なハンズオンプロジェクトを開始します。このプロジェクトを通じて、商品管理の基本となる4つの操作「作成(C)・読み取り(R)・更新(U)・削除(D)」を、一つずつ確実にマスターしていきましょう。

今回はその第一弾、「R (Read - 読み取り)」です。Trading APIのGetItemコールを使い、サンドボックスに出品された商品の情報を正確に取得し、その内容を確認する方法をじっくりと学びます。

プロジェクトの準備

まず、Postmanを起動し、前回設定したリクエストを選択してください。

このプロジェクトで最も重要な準備物は、サンドボックスで出品中(Active)の商品のItemIDです。ItemIDは、商品がeBayに出品されると自動的に割り振られる、その商品固有の背番号のようなものです。

もし、まだサンドボックスに出品済みの商品がない場合は、一度第五回の記事に戻って、テスト商品を一つ作成しておいてください。準備はよろしいでしょうか? それでは、始めましょう!


GetItemリクエストの組み立てと送信

GetItemは、その名の通り、特定の商品の情報を「取得する」ためのAPIコールです。eBay上に登録されている、その商品の「公式データ」を丸ごと取得できる、非常に基本的ながら重要な命令です。

ステップ1:新しいリクエストの作成

Postmanで新しいリクエストを作成し、分かりやすいように「GetItem Project」といった名前を付けましょう。HTTPメソッドはPOST、URLはhttps://api.sandbox.ebay.com/ws/api.dllを入力します。

ステップ2:ヘッダーの設定

「Headers」タブを開き、GetItemコールに必要な情報を設定します。これは、APIへの「お作法」でしたね。

  • X-EBAY-API-CALL-NAME: GetItem

  • X-EBAY-API-IAF-TOKEN:  // API Explorerで貰えましょう

  • その他、前回設定したヘッダーをすべて入力します。

ステップ3:リクエストボディの作成

「Body」タブを開き、「raw」と「XML」を選択します。そして、以下のXMLをテキストエリアに貼り付けましょう。


<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
<GetItemRequest xmlns="urn:ebay:apis:eBLBaseComponents">
  <ItemID>ここにあなたのサンドボックス商品のItemIDを入力</ItemID>
  <DetailLevel>ReturnAll</DetailLevel>
  <IncludeItemSpecifics>true</IncludeItemSpecifics>
</GetItemRequest>

ここでは、3つの重要なパラメータを指定しています。

  • <ItemID>: これが情報の取得対象です。ここに、準備しておいたあなたのサンドボックス商品のItemIDを正確に入力してください。

  • <DetailLevel>: どれだけ詳しい情報を返すかを指定します。ReturnAllは「可能な限り全ての情報をください」という意味の、最も詳細なレベルです。

  • <IncludeItemSpecifics>: trueに設定することで、商品の詳細属性(ブランド、色、サイズなど)をレスポンスに含めるように要求します。これは非常に重要な情報なので、trueにしておくことをお勧めします。

ステップ4:リクエストを送信!

全ての設定が完了したら、青い「Send」ボタンをクリックして、リクエストをeBayのサンドボックスサーバーに送信します。


レスポンス(返事)の読み解き方

リクエストが成功すると、Postmanの下部にあるレスポンス画面に、XML形式のデータが返ってきます。最初は呪文のように見えるかもしれませんが、構造を理解すれば簡単です。ここでは前回より詳しい説明で行きます。

確認ポイント①:通信の成功チェック

まず最初に確認するのは、リクエストが正しく処理されたかどうかです。レスポンスの先頭にある<Ack>というタグを探してください。

  • <Ack>Success</Ack>: これが表示されていれば、リクエストは成功です!

  • <Ack>Failure</Ack>: もし失敗した場合は、<Errors>というタグが同時に返ってきます。その中の<LongMessage>を読むと、「ItemIDが存在しない」「トークンが無効」など、失敗の原因に関するヒントが書かれています。

確認ポイント②:商品情報の本体

成功を確認したら、いよいよ中身を見ていきましょう。商品の詳細情報は、すべて<Item>という大きなタグの中に含まれています。


確認ポイント③:主要な情報の探し方

<Item>タグの中で、以下のタグを探してみてください。あなたが設定した情報が正しく登録されているか、宝探しのように確認してみましょう。

  • <Title>: 商品のタイトル

  • <Description>: 商品の説明文

  • <SellingStatus><CurrentPrice>: 現在の価格

  • <Quantity>: 現在の在庫数

  • <QuantitySold>: これまでに売れた数

  • <PictureDetails><PictureURL>: 商品画像のURL。複数ある場合は、このタグも複数返ってきます。

  • <ItemSpecifics>: 商品の詳細属性。<NameValueList>の中に、属性名(Name)と値(Value)のペアで格納されています。

これらの情報を自分の目で確認することで、APIを通じてeBayのデータベースと直接対話している、という事実を強く実感できるはずです。もし分からない部分があったら、AIもしっかり活用して確認をとりましょう。

まとめと次回予告

お疲れ様でした!これで、ハンズオンプロジェクトの第一弾「R (Read)」は完了です。あなたは今、APIを使って特定の商品の情報を正確に取得し、その内容を読み解くという、自動化に不可欠な基本スキルを身につけました。

さて、情報の「読み取り」をマスターしたなら、次はいよいよ情報の「作成」です。

次回のプロジェクト第二弾では、「C (Create)」に挑戦します。引き続きPostmanを使い、AddItemコールを組み立てて、API経-由でサンドボックスに新しい商品をゼロから出品してみましょう。ご期待ください!

APIは難しくない!あなたのビジネスを加速させる魔法の杖です。


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